いざ、マイアミへ!



いよいよこの日が来た、って感じですね。待ちに待った観戦旅行。NBAの生観戦。ヒートの選手達に会える! ヒートは勝てるかな? 選手にサイン貰えるかな? 試合のない日はなにをしようか? ヒートのオフィシャルショップでは何を買おう? ‥‥私のテンションは、渡米前にして既にリミットを振り切ったような高揚を見せていました。(笑) そんな状態ではすぐに寝つけるはずもなく、午前1時にベッドに入ったものの結局寝たのは午前3時頃でした。まぁ、万が一の寝坊を防ぐために目覚ましを同時に3つセッティングしていたので問題はありませんでしたが。(笑)

現地での観戦旅行は今回で2回目なんですが、今回は(国内旅行も含めて)初めての一人旅です。前回の観戦旅行では、1週間で4都市(マイアミ→オーランド→ボストン→ニューヨーク)を巡り、各都市で1試合ずつ観戦するという超強行スケジュールでしたが、今回は一人旅ということで個人的趣味全開の旅行日程を組んでみました。ズバリ、マイアミに始まりマイアミに終わる、まさにヒートの試合を観るためだけに組まれた予定、それが今回の私のプランです。学生生活の最後を飾る卒業旅行だし、どうせなら旅行の計画から宿やチケットの予約、現地の人とのコミュニケーションに至るまで、すべて自分でやってみよう‥‥それが今回の旅行の大きな目標でした。人生初の一人旅、いざマイアミへ! こうして私の観戦旅行が幕を開けました。

今回の旅行は、関空からデトロイト経由でマイアミ入りというルートを取りました。厳密には、取らざるをえなかった、と言うべきでしょうか。私はユナイテッド航空のマイレージに加入しているので、できれば今回もユナイテッドを利用したかったのですが、航空券の予約が遅れたせいで座席の確保ができませんでした。というわけで、今回は初めてノースウエスト航空を利用することに。ちなみに余談ですが、NBAのアリーナには航空会社の名前を冠したものがたくさんあります。ファンにとってもっとも馴染みのあるところでは、上記のユナイテッド航空の名を冠したユナイテッド・センター(ブルズ)でしょうか。それ以外にも、コンティネンタル・エアラインズ・アリーナ(ネッツ)、デルタ・センター(ジャズ)など。そして、なんと言っても我らがヒートのアメリカン・エアラインズ・アリーナ! ちなみに、マブスのアリーナはアメリカン・エアラインズ・センターです。非常に紛らわしいですが、お間違えのないように。(笑)

さて、関空には午前11時過ぎに到着。旅行会社のカウンターで往復分のチケットを受け取り、荷物の預け入れも済ませた後、出国審査へ。出国審査といっても、日本人が日本から出国する際にはパスポートを見せるだけで終了します。出発が午後1時50分、搭乗開始が午後12時50分だったので、しばらくはぼーっとしながら時間つぶし。マイアミまでは15時間を越える長旅になりますが、これから始まる旅のことを思えば、そんな時間は微塵も苦にはなりません。出発ゲート前に座りながら、改めて、今からマイアミに行くんだなぁという思いをかみしめます。「いよいよ、だな‥‥」

ノースウエストの機体は初めて見ますが、白と赤のデザインがなかなかカッコいいですね。機体には「nwa」の文字。うむ、nwaか‥‥はて、nwa‥‥N.W.A? これ? はい、私と同じくこっちが先に思い浮かんだ貴方はマニア入ってます。(笑) もちろん、「nwa」とは「NorthWest Airlines」の略です。決して「Ni**az With Attitude」ではありません。(笑)



間もなく搭乗開始のアナウンスが行われ、意気揚々と機内へ。しかし、当然エコノミークラスなので座席はかなり狭め。しかも4人並びの座席の真ん中とは‥‥うーむ、こりゃかなり窮屈そうです。しかも私、飛行機の機内で寝るということが凄く苦手なんですよ、困ったことに。前回の旅行の際は、予約のダブルブッキングがあったおかげで幸運にもビジネスクラスの席に座ることができたんですが、それでも機内ではほとんど一睡もできず。そんな人間がエコノミークラスで眠れるはずがありません。しかもこの窮屈なポジション。せめて隣が外国人なら話でもしようかと思ったんですが、普通に日本人のオジサンでした、左右ともに‥‥。そして、いよいよ離陸。しかし、窓からはるかに離れた場所に位置する私の座席からは、外の景色なんてこれっぽっちも見えません‥‥つまらん。(笑) こうして、離陸とともに斜めに傾く機体に揺られながら、日本出発となりました。

機内では離陸後しばらくして飲み物が配られました。スチュワーデスから希望を尋ねられたので「Coke, please.」と答えると、「Whole can?」との返答。‥‥?? 「Excuse me?」と問い返すと「Do you have a whole can?」‥‥はて? 聞き取れん。分からん、という顔をしていると、缶を取り出して指差すスチュワーデス。ここでようやく相手の言葉を理解し「Oh, yes, please.」 相手は単に「コップ1杯でいいのか、缶ごと欲しいのか」と聞いているだけだったわけですが、「whole can」の2単語が聞き取れませんでした。うーむ、ブランクが長いだけに、英語力はかなり錆び付いてますねぇ‥‥。はやく慣れないと。

その後、1時間ほど経ってから夕食に。昼過ぎに出発してもう夕食というのも変な感じですが、アメリカ時間では既に真夜中過ぎなので、食事後はもう就寝時間です。眠れる人にとっては、ですけど。(笑) さて、夕食は2つのメニューから選ぶことができたので、私はチキンカレーを頼みました。(もう1つのメニューが何だったかは忘れましたが) 実は旅行前に「ノースウエストの機内食は異様にまずい」という話を聞いていたので、一体どんなもんが出されるんだろうと半分不安に、半分楽しみに待っていたのですが、夕食のチキンカレーはそれほど特異なシロモノではありませんでした。まぁ、おいしくはありませんでしたが、機内食なんて普通はおいしいものではありませんからね。こんなもんか、とちょっと拍子抜け(笑)でした。

夕食後は窓の日除けが閉められ、就寝時間に。しかし、最初から眠れるはずもないと分かっている私にとっては、むちゃくちゃ暇な時間です。目をつぶってみても、エンジン音がうるさくてとても眠れそうにないし。仕方ないので、MDを聴いて時間をつぶしました。せっかくノースウエストに乗っているんだし、ということで、N.W.Aのアルバムを2つほど。(笑) その後、2Pac、EMINEM、50cent、Nasなどを聴きまくり、ようやくウトウトとまどろむこと1時間強。しかし、結局熟睡はできず、デトロイトへの12時間のフライト中、眠れたのはこの1時間強の間だけ。爆睡するオジサンの隣で、私は10分ごとに腕時計を見ていました。「まだ着かんのか〜」

あまりに暇なので、対ラプターズ戦で使うヤジの文句を考えてみました。「F*ck Toronto!!」‥‥これは過激すぎてつまみ出されそうだな。「Air Canada can't fly!!」‥‥これはカーターが欠場だったら使えん。「Toronto suck!!」‥‥まぁこんなもんか? 「引っ込めボケー!!」‥‥意味は通じんが注目はされるだろうな。(笑)

そんなこんなで、ただひたすらに暇を持て余すこと数時間‥‥スチュワーデスが何やらガサゴソやってると思ったら、ようやく朝食の時間のようです。やっとかよ、やれやれ。「Egg or Yakisoba?」 焼そばかい。(笑) まぁ、せっかく日本を離れてるんだからここはアメリカ風にと思い、「Egg, please.」と注文。そして目の前に差し出されたものは‥‥出た。これがノースウエストの伝説の機内食‥‥てゆーか、目の前に存在するこの黄色い物体の塊は何? 見たところ、食べられるようだが‥‥これが彼らの言う「Egg」なのか!? いやー、衝撃的でしたねぇ、これは。写真を撮り忘れたのが悔やまれます。味の方は、辛うじて卵の味がするのが分かる、というレベル。「ノースウエストの機内食は異様にまずい」という噂は真実でした。まずさもここまでくるとある意味凄い‥‥。Viva, Northwest.

ん? 飛行機が微妙に高度を下げている気がするけど‥‥と思っていると、まもなくデトロイト・メトロポリタン国際空港に到着するという機内アナウンスが。いやー、やっとですか。予定よりやや早めの到着だったそうですが‥‥長かった〜。

そしてついに、私はアメリカに足を踏み入れました。目的地のマイアミはまだ先ですが、なにはともあれアメリカまで来たわけですねぇ。デトロイトってことは、この街のどこかにベン・ウォーレスやリチャード・ハミルトンやラシード・ウォーレスがいるわけですね。遠征に出てなければ、だけど。‥‥と、感慨にひたりながら歩いていくと、入国審査のゲートに到着。うーむ、本格的に英語圏に入るための、ここがいわば玄関口なわけですな。機内では英語のブランクを露呈してしまったけど、大丈夫かな? まぁ、そんなにやっかいな質問をされるとは思わんけど。しかし、列に並んで待っていると、妙に進みが悪い‥‥みんな英語に苦戦してるのかな? 私の3人ほど前に並んでいた女性は、審査官の言葉が理解できなかったらしく、別の部屋に連れて行かれてしまいました。おいおい、そんなに難しいこと聞かれないはずなのに、とちょっと不安に。そうこうしている間に私の順番がまわってきました。いや、こんなところでビビっていてはいかん、ここはいっちょ勢いよくこちらから挨拶してやるか‥‥ということで「Hello !」と一言。‥‥無言でうなずく審査官。なにぃ、それだけか!? シャイで知られる日本人が元気よく挨拶してるのに、貴様は軽くうなずくだけなのか!? 「Hi」ぐらい返せ、コノヤロー! ‥‥とは言いませんでしたけどね、もちろん。(笑)

審査官「You're going to Miami.....sightseeing?」
アキロー「Yes.」
審査官「Have you ever visited the United States?」
アキロー「Yes.」
審査官「When?」
アキロー「Uh.....1999.」
審査官「......Have a nice trip.」

なぬっ、もう終わり? 前の人達が時間を食ってたのは一体なんだったんだ? うーん、かなり拍子抜けな気分ですが‥‥まぁ、問題なく通れたということで、よかったよかった。それにしても無愛想な審査官だったなぁ。

その後、一旦荷物をピックアップし、税関を通り抜け、再び荷物を預けてマイアミ行きの便のゲートへ。デトロイトに到着したのが現地時間の正午前で、マイアミ行きの便は午後1時半発。そんなに時間の余裕もなかったので、出発ゲート前に座って待つことに。ふーむ、しかし、デトロイトは想像していたよりもかなり暖かいという印象ですね。まぁ、暖かいといっても外の気温は10度ぐらいだと思いますが、極寒というイメージが強かっただけに意外でした。実は、今回の旅行の計画を立てた時点で一番心配していたのが、デトロイトで大雪が降って飛行機がストップすることでした。3月初旬とはいえ、寒波の直撃を受ければ大吹雪だってありえる‥‥そんなことになったらラプターズ戦に間に合わない可能性もあるし、旅行の予定もメチャクチャになってしまう‥‥そんな心配は杞憂に終わったようですね。よかったよかった。



上の写真はメトロポリタン空港の発着ロビーを写したものです。さすがは国際空港、出発ゲートは端から端まで歩くのも一苦労なぐらいの広さで、構内には移動床やシャトルが走っていました。デトロイトは雨が降っていましたが、飛行機の発着には全く問題はなく、マイアミ行きの便は予定通り午後1時半過ぎに出発、午後4時半にはマイアミに着くだろうとのことでした。前回の旅行では、行きの乗り継ぎ便の出発が8時間も遅れるという悲惨な経験をしているだけに、今回の旅行で飛行機の遅れがほとんど皆無だったということは、正直信じられないぐらいです。

さて、いよいよマイアミ行きの便の乗り込んだわけですが、日本からデトロイトまでの便とは違い、周りの乗客はアメリカ人ばかり。このとき初めて、自分がアメリカにいるということを実感しました。そして、いよいよマイアミへ‥‥。さすがに疲れていたのか、3時間のフライト中、1時間ほどは眠っていたようです。目が覚めると、もう飛行機は降下を始めていました。窓から下を覗くと、一面に広がっていた雲はいつのまにかなくなり、そこにはフロリダの大地が‥‥そして、前方に広がる街並‥‥マイアミ! 眼下に広がる街並、徐々に大きくなっていく建物‥‥ついにこの場所に辿り着いたのです!





いやぁ、ついに来ましたね、ここに。感無量という感じです。飛行機を降りてロビーを歩いていると、売店でMiami Herald紙が売られていました。あぁ〜、マイアミに来たんだと改めて実感。(笑) せっかくなので買おうかとも思いましたが、前日(私が日本を出発した日)にヒートはバックスに負けていたので、まぁ必要無いだろうということでパス。荷物をピックアップしに行くと‥‥おっ、この場所は見覚えあるぞ。懐かしいなぁ。

さすがに疲れていたので、さっさとタクシーを拾ってホテルへ。窓の外には見なれない街並や車が‥‥ここは日本ではなくアメリカなんですねぇ。同じアメリカでも、空港はアメリカの玄関口に過ぎず、頼めば日本語を話せるスタッフが助けてくれるでしょう。しかし、今、自分がいるのはまさにアメリカという国の内側であり、日本語の全く通じない場所です。自分1人でこんなに遠いところまで来たと思うと、なにか不思議な気分でした。そんなことを考えていると、窓の外に見覚えのあるピンク色の建物が。前回私がヒートの試合を観戦したマイアミ・アリーナです。あの趣味の悪い概観は相変わらずだなぁ。(笑)

ホテルには15分ほどで到着。ホテルの前に降り立つと、そこから500mほど先の場所にはアメリカン・エアラインズ・アリーナが!(以下、AAAと略称) マイアミ到着後は睡眠不足&時差ボケでかなり体が重かったんですが、AAAの姿を目にしたら疲れも吹き飛びました。早々にチェックインを済ませ、写真撮影のためにAAAへ。夕日を浴びるその姿の、なんと大きく美しいことか! ヒートファンにとっての聖地に、私はついに辿り着いたのです。





AAAの正面ゲート前には、3月末に行われるブリトニー・スピアーズのライブの巨大な垂れ幕がかかっていました。ふーん‥‥そういえば、テレビでもラジオでも彼女の新曲「Toxic」がヘビーローテーションでかかっていました。

さて、写真撮影も済んだのでホテルに帰還。時間はまだ午後7時にもなっていませんでしたが、さすがにこの日はこれ以上行動するのはキツかったので、夕食を食べてさっさと休むことにしました。ホテルの向かい側にはBayside Market Placeという観光客向けのショッピングモールがあり、ファストフード店も数多くあったので、とりあえず初日の晩飯はそこで済ませました。このBayside Market Placeには、マイアミ滞在中にいろいろと世話になることになりますが、そのことについては後ほど触れることにしましょう。この日はチキンバーガーを食べましたが、さすがはアメリカンサイズ、巨大です。しかもマヨネーズだかなんだか分からん液体が滴り落ちています。さらに、サイドメニューのコーンの山も異常な多さ‥‥アメリカ人は普段からこれを平気で食べているとは信じられませんねぇ。ところで、晩飯はホテルに持って帰って食べたんですが、ここで1つ大きなミスを犯してしまいました。フォークとストローがない‥‥。日本では、ファストフード店で「お持ち帰り」(アメリカでは「to go」と言います。「take out」は通じません。ちなみに「店内で」は「for here」)にした場合、ストローその他を入れてくれるのは当たり前ですが、アメリカでは店内にナイフ、フォーク、ストローなどが置かれた場所があり、必要なものを自分で持って行くというシステムだったのです。いやぁ、早くも文化の違いに触れたって感じですね。で、チキンバーガーとコーラは問題ないとして、この巨大なコーンの山をフォークなしでどうやって食えばいいのだろう? もう一度店まで戻るのも面倒だし‥‥ま、いいか、ということで、念入りに手を洗ってから手づかみで食いました。(笑)

テレビをつけるとNCAAの試合がやってました。これからはまさに「マーチマッドネス」ですからね。この日は、UConnことコネティカット対シートンホールの対戦。今年のドラフトへのアーリーエントリーが確実視されているUConnのビッグマン、エメカ・オカフォーの最後のホームゲームということで、会場はかなり盛り上がっていました。オカフォーのプレイは以前にも見たことがありましたが、さすがにその時と比べるとかなり上達しているという印象でした。ディフェンス専門の選手というイメージがあったんですが、この日の試合ではオフェンス面でもインサイドで存在感を発揮し、20得点15リバウンド級(←正確な数字ではありません)の活躍でした。まだちょっと線が細いという感じですが、今年のドラフトで上位指名されることは間違いないでしょう。

そんなこんなで、NCAAの中継やESPNのスポーツセンター(スポーツ専門のニュース番組)を見ながら、観戦記用のメモをとり、シャワーを浴び‥‥などしていたら、いつのまにか午前0時に。さすがに疲労困憊だったので、寝ました。朝起きたのが日本時間の午前7時、その後の長旅を経てマイアミに到着し、寝たのがアメリカ時間の深夜。その間、起きていたのが29時間、機内でうたた寝していたのが2時間。文字通り長い1日だった3月1日が、こうして幕を閉じました。



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